【空調のプロが解説】天井からの水漏れ・カビ対策に!正しい冷媒配管の保温処置・施工のコツ
「天井に変なシミが…」
「エアコンから水が漏れている」
「天井裏を見たらカビがびっしり!」
空調機械の不具合によって発生する、さまざまなトラブル。
原因はいくつか考えられますが、もしかしたら『冷媒配管の結露による水漏れ』が原因かもしれません。
冷媒配管の結露は経年劣化によって引き起こされることが多いですが、中には施工不良により結露してしまっているというケースも。
本記事では、様々なトラブルの原因になりうる冷媒配管の保温処置の重要性、施工のコツを解説。
空調のトラブルに悩んでいる方、未経験だけど空調設備の仕事内容が気になるという方は必見です!
空調の冷媒配管とは?
冷媒配管(れいばいはいかん)とは、エアコンの室内機と室外機を繋ぐ配管のこと。
冷媒管は太い管と細い管の2本セットになっており、それぞれ役割が異なります。
・太い管・・・ガス管。冷媒(フロン)が気体化したものが通る管。
冷媒管には「フロン」と呼ばれる冷媒ガスが通っており、液体、気体と変化しながら管を巡回します。
仕組みを詳しく説明すると長くなるので今回は割愛しますが、冷媒配管の中は低温の冷媒が通るため、適切な保温処置を施さないと結露が発生しやすく、その結果様々なトラブルの原因に…。
例えるなら、冷たい飲料水が入ったペットボトル。
冷たいペットボトルを冷蔵庫から出しておくと、ペットボトルの周りに水滴が発生しますよね。
冷媒配管も同じ原理で、外気との気温差により、結露が発生することがあります。
冷媒配管が結露すると実際どのようなトラブルが発生するのか、実例をもとにご紹介します。
冷媒配管の結露によって引き起こされるトラブル
経年劣化、もしくは冷媒配管の保温処置が適切に施されていない場合、冷媒配管が結露します。
結露した水が天井へ垂れると、天井にシミやカビが発生。
シミやカビだけには留まらず、結露による水滴で建物の木材を腐食してしまった場合、高額な補修費用がかかってしまうということも。
そもそも天井裏は通気性が悪く、室内よりも湿度が高いため、結露が発生する条件が揃っています。
そのため換気だけではなく、事前に結露が起こらないよう対策が必要です。
冷媒配管の結露、水漏れがとくに発生しやすい箇所は、冷媒配管の保温材が切断されているところ。
保温材が切断されている箇所は、「継目(つぎめ)」といって配管と配管が繋いであるところ。
保温材もテープや糊で繋ぎますが、経年劣化で徐々に離れていき、その結果冷媒配管がむき出しになり結露が発生します。
今回はとくに結露が発生しやすい、冷媒配管の継目部分の保温処置の現場に立ち会ってきました。
施工のやり方・コツを写真付きで解説していきます。
プロが実践!冷媒配管継手の保温方法・コツ
上の写真は冷媒配管を繋ぎ終わった後で、保温処置前の状態です。
今回冷媒配管を繋いだ方法は、火を使わない冷媒配管用継手「クイックパイパー」。
・溶接の技術・準備が不必要
・火を使わないので火災の心配がない
メリットが多いクイックパイパーですが、誰でも使用できるというわけではありません。
クイックパイパーを使用するには、施工前に必ず講習を受け、あらかじめ施工内容を理解しておく必要があります。
今回施工するスタッフはもちろん講習受講済みですのでご安心ください。
ではさっそく冷媒配管継目の保温処置を行っていきます。
1 専用保温剤に糊付け
クイックパイパー専用保温材の両サイドに、糊をぬりぬり。
糊を付けた箇所は、管保温材の断面と隣接する部分のため、糊をつけたことで保温材同士がずれにくくなるというメリットがあります。
今回使用した糊は、冷媒管保温材用の接着剤。
接着剤の色が透明なのではみ出しても目立ちづらく、速乾タイプなのですぐに密着。
ちなみに冷媒配管の保温処置をする場合、必ず糊付けをするようスタッフに指導しています。
保温材同士を糊で固定することにより、経年劣化による冷媒配管の露出が抑えられ、結露による水漏れを事前に防ぐことができるからです。
空調の故障、関連するトラブルは日常生活の快適度に直結するため、弊社ではなるべく長く空調を快適に使っていただけるよう、工夫をしながら施工をしております。
2 専用保温材を継手にかぶせる
糊付けした専用保温材を、継手の中央にかぶさるようすっぽりとかぶせます。
被せるときに注意するポイントは『合わせ面の向き』。
あわせ面(パカっと開くところ)を下向きにしてしまうと、結露した水が合わせ面から下へ流れる可能性が。
水漏れを防ぐためにも、必ず合わせ面は横(水平)にして、位置がずれないよう抑えながら施工を進めていくのがポイントです。
同時に、さきほど糊をつけた箇所と管保温剤の断面をぐりぐりと押し付け合いながら擦り合わせると、糊が断面全体に行きわたり密着度がUPします。
3 専用保温材の両端を保温材用粘着シートで巻く
糊付けだけだと密着度が弱いため、よりしっかりと固定するために、粘着シートでぐるりと巻きます。
粘着シートを巻くときは、なるべく隙間ができないよう引っ張りながら巻くのがポイント。
隙間=水漏れの原因になってしまうので、冷媒配管の保温処置をするときは隙間ができないように、毎回注意&チェックしながら施工していきます。
粘着シートを巻き終えたら、ぎゅぎゅっと手で包みながら抑えることで、完全に隙間がなくなりました。
糊付けの後に粘着シートを巻き付けることで、保温材がより強固に固定されました。
4 非粘着テープ、粘着テープで巻く
保温材の上に粘着シートを巻いたら、さらに上から非粘着テープを巻いて冷媒配管と管保温材を全面から保護。
非粘着テープは巻き直しがしやすく、曲折部でも巻きやすいので、エアコンの配管施工時に使用されることが多々あります。
巻き方のポイントは、テープが半分~3分の2程度重なり合うように巻いていくこと。
重ならない部分があると、テープの隙間から水が漏れてしまう可能性があるからです。
さらに保温材テープと同様、引っ張りながら巻いていくことで、隙間が出来づらく見た目も綺麗な仕上がりに。
ただ引っ張りすぎて強く巻いてしまうと、保温材を潰してしまい結露の発生に繋がるので、保温材が潰れない程度に巻いていきます。
シワなくきれいに巻けたら、非粘着テープの巻き終わり部分を粘着テープを巻いてしっかり固定。
粘着テープは手でも切れますが、手で切ると粘着部分に手が触れて粘着力が落ちてしまうので、カッターでカット。
ぐるりと数回巻いて、ぎゅっと全体を抑えたら冷媒配管継目、保温処置の完了です。
簡単そうに見えますが、実際にやってみると意外と難しい…。
初心者だと引っ張って巻いてもテープがシワシワになってしまい、隙間だらけになってしまうことも。
先輩スタッフにどうしたら上手に施工できるのか聞いてみました。
「最初のころは上手く巻けなかったけど、何度も巻く練習をしていたら、だんだんと出来るようになってきたんだよ」
と先輩スタッフ。
完璧な施工を見せてくれた先輩スタッフですが、初めから全てできたというわけではなく、様々な経験を積んだからこそ、今の技術があるということですね。
中部オリオンでは、できないことを無理やりやらせるようなことはしません。
空調設備のお仕事が未経験の方は、まずは先輩スタッフに同行し、施工の様子を見てもらいます。
徐々に覚えてもらって、できることからやってもらえればOKです。
中部オリオンの空調部では、事業拡大のため、新しいスタッフを募集中です!
空調設備の仕事がちょっと気になるかも…という方は、お気軽にお問合せください ♪
冷媒配管の保温処置は、暮らしの快適さに繋がる
冷媒配管の保温処置を適切に行うことで、結露による様々なトラブルを未然に防ぐことができます。
空調を末永く快適に使っていただくために、天井裏のような見えない部分も手を抜かず、丁寧で確実な施工を弊社では心掛けています。
エアコンの新設工事、交換など空調設備に関することで何かございましたら、株式会社中部オリオンまでお気軽にお問合せください。
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